恋愛に疲れた20代が“ゆる婚活”にたどり着く理由とは？

2025年7月30日

恋愛の疲れを感じる20代が増えている背景

頑張る恋愛に限界を感じてしまう理由

現代の20代は、恋愛に対して一生懸命すぎるがゆえに疲弊してしまうケースが少なくありません。SNSやマッチングアプリの普及により、出会いの数が飛躍的に増えた反面、選択肢が多すぎることがストレスになることもあります。「もっといい人がいるかもしれない」という気持ちが抜けず、1人の相手に集中できない。さらに、連絡の頻度やスタンプの使い方、既読スルーなど、細かなやり取りが心理的プレッシャーになることもあります。

また、「付き合ったら結婚を前提にしないといけない」というプレッシャーがのしかかり、楽しかったはずの恋愛が急に重荷に感じることも。恋愛という営みそのものが「成果を出さなければならない競争」のようになってしまい、本来の「楽しさ」や「心の通い合い」が後回しになっているのが現状です。こうした中で、「もう疲れた」「ちょっと休みたい」という声が聞こえてくるのは当然かもしれません。

SNS時代の恋愛疲れと自己肯定感の低下

SNSの普及は恋愛観にも大きな影響を及ぼしています。インスタグラムやX（旧Twitter）では、カップルの幸せそうな日常が毎日のように流れてきます。それを見た20代の女性たちは、「私もあんなふうになりたい」と思う反面、「なんで自分だけうまくいかないんだろう」と劣等感を抱いてしまうことがあります。恋人がいない自分＝魅力がない、と錯覚してしまい、自分を責めるようになってしまうのです。

さらに、「見られる恋愛」への意識が高まりすぎると、相手との関係よりも“周囲にどう見られるか”に重きを置いてしまいます。結果として本音を言いにくくなり、関係が不安定になりやすくなります。承認欲求を満たすための恋愛は、長続きしにくく、相手のちょっとした態度に敏感になってしまう傾向も。こうした繰り返しが、20代における恋愛疲れを加速させているのです。

恋愛疲れが生む“恋愛離れ”の実態

恋愛に疲れた結果、あえて恋愛を遠ざける20代も増えてきました。いわゆる“恋愛離れ”です。恋愛をしないことを選ぶというよりも、「今は無理」「もうしばらく一人でいたい」という“防衛的な距離感”を持つ若者が増えているのが特徴です。とはいえ、将来的に結婚したいという気持ち自体は持っている人が多く、「でも恋愛は疲れる」というジレンマを抱えています。

特に20代後半になると、周囲が次々に結婚していく現実に焦りを感じ始め、「このままで大丈夫かな」という不安が生まれます。恋愛は疲れるけれど、結婚はしたい。そんな葛藤を抱えたまま、婚活に踏み出すタイミングを見失ってしまう人が多いのです。この“恋愛疲れ→恋愛離れ→焦り”のループこそ、ゆる婚活に関心が集まる背景と言えるでしょう。

ゆる婚活とは？新しい婚活スタイルの登場

“ゆるさ”が生む心理的ハードルの低さ

ゆる婚活とは、「結婚を意識しすぎず、無理のないペースで出会いを楽しむ婚活スタイル」です。従来の婚活が“短期決戦型”であるのに対し、ゆる婚活は“長期戦でもOK”という柔軟さが特徴。何よりも「焦らなくていい」という考え方が、恋愛に疲れた20代にとって救いになります。

たとえば、「必ず月に何人と会う」「毎日アプリで連絡を取る」といった義務感ではなく、自分の気が向いたときに参加する街コンやカフェ会、趣味コンなどが中心。スーツやドレスを着て形式ばったお見合いをするわけではないため、気軽に参加できて、会話のハードルも低くなります。結果として、無理せず「相性の合う人」との出会いにつながるのです。

「結婚前提」ではなく「相性重視」が主流に

ゆる婚活のもう一つの魅力は、「今すぐ結婚したい人」だけでなく、「まずは話せる相手が欲しい」「自分のペースで進みたい」という人にもフィットする点です。これは、従来の“条件重視”の婚活から、“感覚重視・相性重視”への変化とも言えます。

たとえば、年収や学歴、家柄などのスペックを一切見ずに、「一緒にいて疲れないか」「価値観が合うか」「沈黙が苦じゃないか」といった“空気感”で相手を選ぶ人が増えています。これは、恋愛に疲れている人ほど大切にしたいポイントです。条件が良くても、一緒にいて疲れる相手では続かないということを、過去の恋愛で実感しているからこそ、ゆる婚活の“自然体”が心地よく感じられるのです。

“出会い”への考え方が根本から変わってきた

これまでの出会いは、「恋人をつくる」「将来を見据えた相手を探す」といった目的ありきの行動でした。しかし、ゆる婚活では「まずは出会って話してみる」「縁があれば付き合えばいい」という、ゆるやかなスタンスが基本です。そのため、恋愛疲れで心が弱っているときでも、無理に頑張る必要がありません。

また、友達から恋人へと自然にステップアップする関係性も生まれやすく、「最初から恋人候補としてジャッジされる」ことへのプレッシャーが少ないのも特徴です。恋愛に構える必要がないため、自分を偽らずに自然体でいられる。それが、恋愛に疲れた20代にとって、心の癒やしにもつながっているのです。

“ゆる婚活”が20代に与えるポジティブな影響

自分を大切にする視点が戻ってくる

ゆる婚活の最大の魅力は、「無理をしなくていい」という安心感です。恋愛に疲れていた時期は、「自分が悪いのでは」と自己否定に陥りがちでしたが、ゆる婚活を通じて「そのままの自分でいい」と思えるようになる人も少なくありません。相手に好かれるために自分を変えるのではなく、自分に合った相手を見つけるという視点に切り替わることで、自己肯定感が回復していくのです。

また、恋愛をすること自体に無理を感じていた人も、「無理に好きにならなくてもいい」「自然に好意が湧くなら進めばいい」と考えることで、心に余裕が生まれます。自分を守りながら出会いを探せる、それがゆる婚活の強みであり、20代の若者にとっては新しい救済の形と言えるでしょう。

プレッシャーからの解放と“ちょうどいい距離感”

ゆる婚活では、恋愛や結婚に対する「やらなければ」という義務感や社会的圧力から解放されます。結婚適齢期という見えないタイムリミットに追われる必要もなく、他人と比較することなく、自分のペースで人と関わることができます。これにより、人間関係におけるストレスも軽減され、精神的に安定した状態で恋愛を楽しめるようになります。

また、「結婚を前提にしたお付き合いをしなければならない」という思い込みから自由になることで、関係性そのものに“ちょうどいい距離感”を保てるようになります。これは、長続きする関係を築く上でも非常に重要な要素です。自分の気持ちに正直でいられる環境が、ゆる婚活には揃っているのです。

恋愛や結婚への希望を取り戻せる

恋愛に疲れた結果、「もう誰かと一緒になるのは無理かも」と感じていた人でも、ゆる婚活を通じて少しずつ前向きになれるケースが増えています。重たい恋愛や傷ついた経験を経たからこそ、軽やかで無理のない出会いが心に響くのです。そして、「また誰かと一緒にいたい」と思えるようになることが、恋愛や結婚への第一歩につながります。

ゆる婚活は、ただの“楽な婚活”ではなく、「自分と向き合い、未来に向けて一歩を踏み出す」ためのプロセスでもあります。恋愛に疲れて離れていた人が、自分のペースで戻ってこられる場所。それがゆる婚活なのです。